[日文]人间失格 作者 太宰治-第12章
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附合いに於いて何一つ失ってはいなかったのです。堀木の老母が、おしるこを二つお盆に載せて持って来ました。「あ、これは」と堀木は、しんからの孝行息子のように、老母に向って恐縮し、言葉づかいも不自然なくらい丁寧に、「すみません、おしるこですか。豪気だなあ。こんな心配は、要らなかったんですよ。用事で、すぐ外出しなけれゃいけないんですから。いいえ、でも、せっかくの御自慢のおしるこを、もったいない。いただきます。お前も一つ、どうだい。おふくろが、わざわざ作ってくれたんだ。ああ、こいつあ、うめえや。豪気だなあ」と、まんざら芝居でも無いみたいに、ひどく喜び、おいしそうに食べるのです。自分もそれを啜《すす》りましたが、お湯のにおいがして、そうして、お餅をたべたら、それはお餅でなく、自分にはわからないものでした。決して、その貧しさを軽蔑したのではありません。(自分は、その時それを、不味《まず》いとは思いませんでしたし、また、老母の心づくしも身にしみました。自分には、貧しさへの恐怖感はあっても、軽蔑感は、無いつもりでいます)あのおしること、それから、そのおしるこを喜ぶ堀木に依って、自分は、都会人のつましい本性、また、内と外をちゃんと区別していとなんでいる枺─稳摔渭彝イ螌g体を見せつけられ、内も外も変りなく、ただのべつ幕無しに人間の生活から逃げ廻ってばかりいる薄馬鹿の自分ひとりだけ完全に取残され、堀木にさえ見捨てられたような気配に、狼狽《ろうばい》し、おしるこのはげた塗箸《ぬりばし》をあつかいながら、たまらなく侘《わ》びしい思いをしたという事を、記して置きたいだけなのです。「わるいけど、おれは、きょうは用事があるんでね」堀木は立って、上衣を着ながらそう言い、「失敬するぜ、わるいけど」その時、堀木に女の訪問者があり、自分の身の上も急転しました。堀木は、にわかに活気づいて、「や、すみません。いまね、あなたのほうへお伺いしようと思っていたのですがね、このひとが突然やって来て、いや、かまわないんです。さあ、どうぞ」よほど、あわてているらしく、自分が自分の敷いている座蒲団をはずして裏がえしにして差し出したのを引ったくって、また裏がえしにして、その女のひとにすすめました。部屋には、堀木の座蒲団の他には、客座蒲団がたった一枚しか無かったのです。女のひとは痩《や》せて、脊の高いひとでした。その座蒲団は傍にのけて、入口ちかくの片隅に坐りました。自分は、ぼんやり二人の会話を聞いていました。女は雑誌社のひとのようで、堀木にカットだか、何だかをかねて頼んでいたらしく、それを受取りに来たみたいな具合いでした。「いそぎますので」「出来ています。もうとっくに出来ています。これです、どうぞ」電報が来ました。堀木が、それを読み、上機嫌のその顔がみるみる険悪になり、「ちぇっ! お前、こりゃ、どうしたんだい」ヒラメからの電報でした。「とにかく、すぐに帰ってくれ。おれが、お前を送りとどけるといいんだろうが、おれにはいま、そんなひまは、無えや。家出していながら、その、のんきそうな面《つら》ったら」「お宅は、どちらなのですか?」「大久保です」ふいと答えてしまいました。「そんなら、社の近くですから」女は、甲州の生れで二十八歳でした。五つになる女児と、高円寺のアパ趣俗·螭扦い蓼筏俊7颏人绖eして、三年になると言っていました。「あなたは、ずいぶん苦労して育って来たみたいなひとね。よく気がきくわ。可哀そうに」はじめて、男めかけみたいな生活をしました。シヅ子(というのが、その女記者の名前でした)が新宿の雑誌社に勤めに出たあとは、自分とそれからシゲ子という五つの女児と二人、おとなしくお留守番という事になりました。それまでは、母の留守には、シゲ子はアパ趣喂芾砣摔尾课荬沁'んでいたようでしたが、「気のきく」おじさんが撸Г酉嗍证趣筏片Fわれたので、大いに御機嫌がいい様子でした。一週間ほど、ぼんやり、自分はそこにいました。アパ趣畏櫎韦工敖坞娋に、奴凧《やっこだこ》が一つひっからまっていて、春のほこり風に吹かれ、破られ、それでもなかなか、しつっこく電線にからみついて離れず、何やら首肯《うなず》いたりなんかしているので、自分はそれを見る度毎に苦笑し、赤面し、夢にさえ見て、うなされました。「お金が、ほしいな」「……いくら位?」「たくさん。……金の切れ目が、縁の切れ目、って、本当の事だよ」「ばからしい。そんな、古くさい、……」「そう? しかし、君には、わからないんだ。このままでは、僕は、逃げる事になるかも知れない」「いったい、どっちが貧乏なのよ。そうして、どっちが逃げるのよ。へんねえ」「自分でかせいで、そのお金で、お酒、いや、煙草を買いたい。剑坤盲苾Wは、堀木なんかより、ずっと上手なつもりなんだ」このような時、自分の脳裡におのずから浮びあがって来るものは、あの中学時代に画いた竹一の所謂「お化け」の、数枚の自画像でした。失われた傑作。それは、たびたびの引越しの間に、失われてしまっていたのですが、あれだけは、たしかに優れている剑坤盲郡瑜Δ蕷荬工毪韦扦埂¥饯吾帷ⅳ丹蓼钉藁い皮撙皮狻ⅳ饯嗡激こ訾沃肖我萜筏摔稀⑦hく遠く及ばず、自分はいつも、胸がからっぽになるような、だるい喪失感になやまされ続けて来たのでした。飲み残した一杯のアブサン。自分は、その永遠に償い難いような喪失感を、こっそりそう形容していました。剑卧挙訾毪取⒆苑证窝矍挨恕ⅳ饯物嫟卟肖筏恳槐违ⅴ芝单螭沥椁膜い评搐啤ⅳⅳⅰⅳⅳ谓}をこのひとに見せてやりたい、そうして、自分の画才を信じさせたい、という焦燥《しょうそう》にもだえるのでした。「ふふ、どうだか。あなたは、まじめな顔をして冗談を言うから可愛い」冗談ではないのだ、本当なんだ、ああ、あの剑蛞姢护皮浃辘郡ぁⅳ瓤哲灓螣⿶灐钉悉螭猡蟆筏颏筏啤ⅳ栅い葰荬颏āⅳⅳ椁幛啤ⅰ嘎怠¥工胜趣狻⒙胜椤④ツ兢瑜辘稀ⅳΔ蓼い膜猡辘馈工饯巍ⅳ搐蓼筏蔚阑窝匀~のほうが、かえってまじめに信ぜられました。「そうね。私も、実は感心していたの。シゲ子にいつもかいてやっている漫画、つい私まで噴き出してしまう。やってみたら、どう? 私の社の編輯長《へんしゅうちょう》に、たのんでみてあげてもいいわ」その社では、子供相手のあまり名前を知られていない月刊の雑誌を発行していたのでした。……あなたを見ると、たいていの女のひとは、何かしてあげたくて、たまらなくなる。……いつも、おどおどしていて、それでいて、滑稽家なんだもの。……時たま、ひとりで、ひどく沈んでいるけれども、そのさまが、いっそう女のひとの心を、かゆがらせる。シヅ子に、そのほかさまざまの事を言われて、おだてられても、それが即《すなわ》ち男めかけのけがらわしい特伲胜韦馈ⅳ人激à小ⅳ饯欷长饯い瑜い琛干颏唷工肖辘恰⒁幌颏嗽獨荬訾骸⑴瑜辘辖稹ⅳ趣摔伐抛婴椁韦欷谱曰瞍筏郡い趣窑饯四瞍浮⒐し颏筏皮い毪猡韦巍ⅳà盲皮坤螭坤螗伐抛婴摔郡瑜椁胜堡欷肖胜椁唐颇郡摔胜盲啤⒓页訾吾崾四─浃楹韦浃椤ⅳ郅趣螭扇俊ⅳ长文肖蓼丹辘渭字菖问涝挙蚴埭薄ⅳい盲饯ψ苑证稀ⅴ伐抛婴藢潳贰⑺^「おどおど」しなければならぬ結果になったのでした。シヅ子の取計らいで、ヒラメ、堀木、それにシヅ子、三人の会談が成立して、自分は、故郷から全く絶縁せられ、そうしてシヅ子と「天下晴れて」同棲《どうせい》という事になり、これまた、シヅ子の奔走のおかげで自分の漫画も案外お金になって、自分はそのお金で、お酒も、煙草も買いましたが、自分の心細さ、うっとうしさは、いよいよつのるばかりなのでした。それこそ「沈み」に「沈み」切って、シヅ子の雑誌の毎月の連載漫画「キンタさんとオタさんの冒険」を画いていると、ふいと故郷の家が思い出され、あまりの侘びしさに、ペンが動かなくなり、うつむいて涙をこぼした事もありました。そういう時の自分にとって、幽かな救いは、シゲ子でした。シゲ子は、その頃になって自分の事を、何もこだわらずに「お父ちゃん」と呼んでいました。「お父ちゃん。お祈りをすると、神様が、何でも下さるって、ほんとう?」自分こそ、そのお祈りをしたいと思いました。ああ、われに冷き意志を与え給え。われに、「人間」の本伲蛑椁筏峤oえ。人が人を押しのけても、罪ならずや。われに、怒りのマスクを与え給え。「うん、そう。シゲちゃんには何でも下さるだろうけれども、お父ちゃんには、駄目かも知れない」自分は神にさえ、おびえていました。神の愛は信ぜられず、神の罰だけを信じているのでした。信仰。それは、ただ神の笞《むち》を受けるために、うなだれて審判の台に向う事のような気がしているのでした。地獄は信ぜられても、天国の存在は、どうしても信ぜられなかったのです。「どうして、ダメなの?」「親の言いつけに、そむいたから」「そう? お父ちゃんはとてもいいひとだって、みんな言うけどな」それは、だましているからだ、このアパ趣稳摔郡两预恕⒆苑证靡猡蚴兢丹欷皮い毪韦稀⒆苑证庵盲皮い搿ⅳ筏贰⒆苑证稀ⅳ嗓欷郅山预蚩植坤筏皮い毪⒖植坤工欷肖工毪郅珊盲臁ⅳ饯Δ筏啤ⅳ长沥椁虾盲欷毪群盲欷毪郅煽植坤贰⒔预殡xれて行かねばならぬ、この不幸な病癖を、シゲ子に説明して聞かせるのは、至難の事でした。「シゲちゃんは、いったい、神様に何をおねだりしたいの?」自分は、何気無さそうに話頭を転じました。「シゲ子はね、シゲ子の本当のお父ちゃんがほしいの」ぎょっとして、くらくら目まいしました。敵。自分がシゲ子の敵なのか、シゲ子が自分の敵なのか、とにかく、ここにも自分をおびやかすおそろしい大人がいたのだ、他人、不可解な他人、秘密だらけの他人、シゲ子の顔が、にわかにそのように見えて来ました。シゲ子だけは、と思っていたのに、やはり、この者も、あの「不意に虻《あぶ》を叩き殺す牛のしっぽ」を持っていたのでした。自分は、それ以来、シゲ子にさえおどおどしなければならなくなりました。「色魔《しきま》! いるか